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心筋炎と新型コロナウイルスとの関連

2020/08/16更新

こんにちは。院長の品川弥人です。

心筋炎という病気を知っていますか?最近新型コロナウイルス感染症に合併する心臓障害として耳にする方も多いのではないでしょうか?
心筋炎とは心臓の筋肉に炎症を起こす病気です。軽症の場合は無症状であることも多いですが、重症になると心不全やショックを引き起こし命にかかわる重大な病気です。原因は様々ですが、その一つとしてウイルス感染症があります。のどの風邪やおなかの風邪症状の1~2週間後に、胸の痛み、動悸、息苦しさ、失神などで発症することが多いとされています。風邪が治った後にこのような胸の症状が出てきた場合は要注意ですので、必ず病院を受診するようにしましょう。

 最近、新型コロナウイルスによる心臓の障害、心筋炎の報告が相次いでいます。通常の風邪ウイルスと同じく心筋炎を引き起こす報告は以前からあったのですが、新型コロナウイルス感染症から回復した患者さん100例に心臓MRIの検査をしてみると78%に異常がみつかり、60%に持続している炎症所見と認めたと報告されています。(JAMA Cardiol. 2020 Jul 27:e203557. doi: 10.1001/jamacardio.2020.3557.)また心エコー検査では69カ国合計1216人の患者さんの約半数に何らかの異常を認めているという論文もあります(Eur Heart J Cardiovasc Imaging. 2020 Jun 18:jeaa178. doi: 10.1093/ehjci/jeaa178.)。検査で異常がみつかっても無症状の場合も多くありますので過剰に心配する必要はないと思われますが、少なくとも胸の痛み、動悸、息切れなどの症状が新たに出現した人は要注意ですので、しっかりと検査を受ける必要があると思われます。

急性心筋炎を疑う症状は?~早期発見のためにできること~

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