あなたの腎臓大丈夫ですか? ~なぜ腎臓を大切にすることに意識を向けないといけないのか~
こんにちは。院長の品川弥人です。久しぶりにYouTube動画を作成しました。
今回は腎臓に関するお話です。最近、健診で“腎機能が少し…”と言われたけれど、特に症状もないし大丈夫?──そんなあなたにこそ知ってほしい“腎臓のはたらき”と、“腎臓を守る理由”。気づかぬうちに進行する腎臓の病気と、その原因についてわかりやすくお伝えします。
内容の概要を文章でもお伝えしますね。
1.腎臓の役割と重要性
腎臓は血液をろ過して、老廃物や余分な水分を排出する尿をつくる臓器です。つまり腎臓の機能とは血液を綺麗にするフィルターです。 腎臓が悪くなってくると、有害な老廃物や余分な塩分や水分を出す機能が落ちてくるので、最終的は尿が作れなくなってしまい、血液透析という処置を続けないと命を維持できない状況になってしまいます。ただそこのような状態になるのは末期の腎不全であり、初期から中期までの腎機能障害は一般に症状がありません。ここが怖いところで、腎臓が沈黙の臓器と言われる所以です。 症状がなければ放置してよいかというと決してそんなことはないのです。
理由は二つありますが、まず、腎臓の機能というのは基本的には一度悪くなると良くなる可能性が低いからなのです。一時的な急性の原因で腎臓が悪くなった場合には、良くなることが多いですが、慢性的に徐々に悪くなった場合には、腎臓の機能は回復させることができないことが多いのです。 さらに、腎機能が悪化すると、心筋梗塞、心不全、脳卒中、末梢動脈疾患などの命にかかわる病気の発症率が明らかに上がるのです。腎機能(eGFR)が60mL/min/1.73m²未満の人では、心筋梗塞のリスクが約2倍脳梗塞・脳出血のリスクも1.5〜2倍以上に増加するという疫学研究が多数存在します。
2. 腎臓の機能の検査と慢性腎臓病のステージ分類
一番簡便で一般的な検査は血液検査と尿検査です。慢性腎臓病の早期発見には定期的な血液検査と尿検査が欠かせません。 血液検査では血清Cr(クレアチニン)という値、また、Cr値と年齢から推算されるeGFR(推定糸球体濾過量)という数値を知ることができます。 また、尿検査では特に蛋白尿や初期の糖尿病の場合はアルブミン尿が重要で、血尿も腎臓の異常を疑う所見です。慢性腎臓の進行度(ステージ分類)は糸球体濾過量(GFR)と蛋白尿やアルブミン尿の数値で決まります。 GFRが60未満だと腎機能の低下ありと判断、一般的に15未満になると、末期腎不全として透析導入の検討段階になります また、蛋白尿やアルブミン尿(糖尿病の場合)は程度に応じて3段階に分類されます。
慢性腎臓病とは以下のように定義されています。
①糸球体濾過量(GFR)で表される腎機能の低下(GFR<60mL/分/1.73m2) ②0.15 g/gCr 以上の蛋白尿もしくは30 mg/gCr 以上のア ルブミン尿や、腎臓の障害を示唆する血液、画像検査所見
①, ②のいずれか,または両方が 3 カ月以上持続する病態です
3. 腎臓を悪化させる原因
腎臓を悪化させる一番大きな原因は高血圧と糖尿病。次に高コレステロール(LDL)血症、高尿酸血症などの生活習慣に関する病気、それから喫煙です。 その他には慢性腎炎、多発性嚢胞腎、薬剤性(特にNSAIDsと称される痛みどめ)、腎結石なども腎臓が悪くなる原因になります。 1つの腎臓にはネフロンという尿をつくる装置が約100万個あります。 ネフロンは糸球体と尿細管という部分からなって、血液は糸球体を通るときに濾過されて尿がつくられます。この糸球体という部分は細い血管からできていて、血管が障害を受けると壊れています。つまり血管が傷害を受けると、腎臓のネフロンが傷害される。そして壊れてしまったネフロンは再生することはありません。 ですので、動脈硬化や血管を障害する病気が腎臓を悪化させる原因になるのです。
慢性腎臓病は無症状でも進行する、放置してはいけない病気です。
検査では採血のCrとeGFR、 尿蛋白に気を配りましょう。
腎臓を守るために一番大切なことは、血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症の管理と禁煙。
血管を守る生活習慣が腎臓を守ることにつながります。
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