呼吸器疾患とは
呼吸器疾患とは上気道、気管・気管支、肺、胸膜等に起こる疾患の総称です。止まらない咳・息切れ・痰が慢性的に続く場合、呼吸器疾患の可能性があります。
なかでも発見が遅れることが多いのが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と気管支喘息です。喫煙が原因のCOPDでは、肺の組織が破壊され、息切れや呼吸苦が徐々に進行します。一度悪くなった肺は治療しても元通りには回復しないため、一刻も早く禁煙が必要です。また、気管支喘息は子どもの病気と思われがちですが、成人になってから発症するケースもあります。咳だけが出る咳喘息もあります。喘息は放っておくと気管支の炎症が悪化して、継続的な服薬等の治療が不可欠になる厄介な病気です。いずれも早期発見が非常に重要です。
高齢者の場合は、肺炎に注意が必要です。厚生労働省の平成27年人口動態統計(確定数)によると肺炎は日本人の死亡原因の第3位で、体力・免疫力が低下しやすい高齢者は、風邪かと思っていたら進行が急激な肺炎を発症し、亡くなることがあります。風邪の後に咳が止まらない・熱が下がらない・痰が出て苦しいといった症状が出たら要注意です。早めの受診をおすすめします。
こんな症状ありませんか?
呼吸器疾患の原因・危険性・治療法
気管支喘息
-
原因
アレルギー、たばこ、気象の変化、遺伝等が原因です。
-
悪化した場合・合併症
気管支の炎症が悪化して、咳が止まらない・呼吸困難といった症状を引き起こします。特に夜間や明け方に咳が悪化することが多いです。
-
治療法
最も一般的な治療は吸入薬です。内服薬を併用する場合もあります。アレルギーが原因の場合はアレルゲンの回避も重要です。
急性気管支炎
-
原因
多くの場合は風邪をひいた後に、細菌・ウイルスにによる炎症が気管支まで及ぶことが原因です。
-
悪化した場合・合併症
炎症を放置すると肺炎につながる恐れがあります。
-
治療法
細菌性の場合は抗生剤を投与します。ウイルス性の場合は対症療法が中心で、安静にして服薬や水分・栄養補給を行います。
肺炎
-
原因
多くの場合は風邪や気管支炎から、細菌・ウイルスによる炎症が肺まで到達することが原因です。
-
悪化した場合・合併症
呼吸不全を起こし、死亡するリスクもあります。
-
治療法
多くは細菌性であり、抗生剤を投与します。その他に去痰剤や気管支拡張薬を併用します。重症例では入院加療を要するため、早期発見による治療が重要です。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
-
原因
喫煙が原因です。喫煙者だけでなく、受動喫煙から発症する場合もあります。
-
悪化した場合・合併症
呼吸不全・心不全や骨粗しょう症を引き起こす可能性があります。死亡リスクも高い疾患です。
-
治療法
まずは禁煙でこれ以上の悪化を防ぎ、吸入薬・内服薬による治療を行います。肺炎を起こすと急性増悪するため、肺炎球菌ワクチンの接種も有効です。
睡眠時無呼吸症候群
-
原因
肥満や扁桃肥大から気道が狭まるタイプと、心不全・脳血管疾患から睡眠中枢が異常を起こすタイプ、さらに混合タイプがあります。
-
悪化した場合・合併症
高血圧・動脈硬化の悪化・心筋梗塞・脳梗塞を引き起こす恐れがあります。
-
治療法
肥満の解消や、睡眠中に装置を使って空気を送り続けるCPAP療法等を行います。
大学病院・地域の基幹病院との連携
大きな検査や入院加療が必要な際には適切な医療機関にご紹介致します。