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こんにちは。院長の品川弥人です。もうすぐ今年も終わろうとしていますね。

この一年は2021年1月から新型コロナウイルスの第3波、第4波、第5波と続き、感染症対策とワクチン接種に追われる日々でした。

思えば風邪症状の患者さんの受診時間を分離する風邪・発熱外来を初めて、21カ月も経ちました。

早く通常の診療体制に戻りたいと願いますが、まだまだ予断を許さない状況が続きそうです。

患者様には受診時間の分離につきご協力いただき、誠にありがとうございます。一方でご不便が生じたり、待ち時間が長くなってしまうこともあり、ご迷惑をおかけしてしまったことを心よりお詫び申し上げます。

2022年度はオミクロン株による第6波に備えて、いままで以上に感染対策に注力していかなければなりません。ただし感染対策だけでなく、少しでも待ち時間しつつ、よりご満足いただける診療を提供できるよう、スタッフ一同尽力してまいります。

皆様どうぞよいお年をお迎えください。

写真は鶴見川沿いの遊歩道、夕暮れの風景です(^^)

禁煙外来で処方している禁煙補助薬のチャンピックスが出荷停止となり、当院ではニコチネルパッチを処方しておりました。
しかし、メーカーおよび近隣を含むほとんどの薬局様でニコチネルパッチの在庫が不足している現状のため、

禁煙外来の診療を一時停止とさせていただきます。

再開に関しましては、ホームページでお知らせいたします。

ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

院長 品川弥人

こんにちは。院長の品川弥人です。

今回はクリニックに来る患者さんの主訴でとても多い「長引く咳」についての動画を撮りました。

長引く咳の原因と放置してはいけない危険な咳の特徴について説明してあります。文章でも説明してありますが長いので是非、下の画像をクリックして動画をご覧ください(^^)

咳の原因は大きく分けると一番多い感染症による咳(風邪、気管支炎、肺炎)とそれ以外の咳に分けれらます。
感染性の咳では、症状が軽くて自然に治ってしまえばお薬がいらないことも多いのですが、肺炎にだけは気を付けないといけません。

肺炎を疑う特徴は3つあります。

① 38℃以上の熱(特に夜に熱が上がる)
② 脈が速い(脈拍100/分以上)
③ 呼吸がハアハアする(呼吸回数24回/日)以上です。
3つのうちどれか一つあれば肺炎の可能性がありますので、病院で診察を受け、必要に応じて胸部X線や採血のチェックをしてもらいましょう。

ただし新型コロナウイルス感染症の場合は軽症の段階から急に肺炎を起こしてくることもありますので注意が必要です。また、これ以外にも胸部X線で診断できる見落とされやすい咳の原因が3つあります。
それは①肺結核 ②心不全 ③肺がんによる咳です。  
結核は微熱や寝汗が長期間続いているときに疑います。心不全は体を動かしたときや夜横になったときに咳と共に呼吸が苦しい症状が出る特徴があります。肺がんの場合は血痰を伴うこともあります。いずれも一般的には胸部X線で診断できるものです。

さて、病院で風邪や気管支炎と言われて、肺炎もないのに、お薬を処方されてもその後なかなか咳が止まらない場合がありますね。この状態を感染後咳嗽と言います。
この場合、咳が多少長引いていても徐々に良くなっていれば問題ないことが多いです。特徴としては昼夜関係なくちょっとした刺激で咳が出やすいことが挙げられます。

対処としては以下の3つになります。
①マスクをして乾燥した空気、冷たい空気などの刺激を避ける
②のど飴や水を飲んだりしてこまめに喉を潤す
③一般的な咳止めを使用する
ただしこの咳はお薬を使っても必ずしもピタッと止まるものではなく、徐々に治っていくものだということを覚えておきましょう。

次に風邪や気管支炎後の咳が3週間たっても改善しない場合、あるいは先行する風邪の症状がなく、咳だけが3週間以上続く「長引く咳」(遷延性咳嗽、慢性咳嗽)についてです。これは大きく分けると以下の4に分けられます。

① 咳喘息
② アトピー咳、 喉頭アレルギー
③ 副鼻腔気管支症候群
④ 逆流性食道炎に伴う咳

①咳喘息
喘息は呼吸がヒューヒュー、ゼーゼーなる病気ですが、 咳だけが続く咳喘息という病態があります。 特徴として 明け方に咳が出やすい、 子供の頃に喘息の既往があった、 風邪をひくといつも咳が長引くなどが挙げられます。 この場合は気管支喘息に使う吸入薬や気管支拡張薬がよく効きます。


② アトピー咳/喉頭アレルギー
これはアレルギーが原因となっている咳です。 特徴として喉のイガイガする感じが持続する、 寒さ、会話、運動などで咳が誘発される、咳喘息と同じく夜間から早朝に咳が起きやすいなどの特徴があります。 この場合はステロイドの吸入薬や抗アレルギー薬の内服が効きます。


③ 副鼻腔気管支症候群
これは副鼻腔炎があり、 鼻水が喉の奥を伝って垂れてくる刺激によって出る咳です。 黄色の痰を伴うことが多く、鼻炎症状が長く続いていること、 鼻の周囲の痛みがあることなどが特徴です。 鼻炎の治療や抗生物質の使用で良くなることが多いです。


④ 逆流性食道炎に伴う咳
これは胃酸が食道を逆流し、刺激になって出る咳です。 胸の痛みや胸焼けを伴うことがあり、咳は会話、起床時、食事などで悪化することが多いと言われています。また、咳払いや嗄声も過半数で認められます。胃酸を抑制するお薬が効きます。

最後に、ACE阻害薬という血圧のお薬の副作用で咳が出ることがあります。 ただしこの咳はあまり悪い咳ではありません。気道の異物への反射が亢進することで誤嚥性肺炎を防ぐ作用もあると言われていますので高齢者であえてこのお薬を使うこともあるのです。 ただし日常生活で困るぐらいの咳であれば薬の変更をお願いしましょう。

以上、長くなりましたが咳についての説明でした!

こんにちは。院長の品川弥人です。当院の看護師、古藤絵美さんが心不全療養指導士の試験に合格しました!高齢社会で増え続けている心臓病の患者さんをサポートするために、日本循環器学会によって新たに作られた資格です。以下、古藤さんからのメッセージです。

約1年間の時間をかけ今までの経験に新たな知識をつけ、院長先生のサポートもあり

今年4月、日本循環器学会 第1回「心不全療養指導士」資格を取得することができました。
心不全療養指導士の役割は、患者さん本人及び家族など介護する方に正確な知識と技術を身につけていただき、心不全の発症や憎悪予防のためセルフケア(自分自身で自分を管理すること)と療養を継続していただくことを支援することです。

また、地域医療との連携も必要であり、患者さん中心のチーム医療のキープレイヤーとなることも期待されています。
当クリニックには多くの循環器疾患の患者さんがいらっしゃいますが、患者さん一人一人の生活スタイルに沿った指導だけでなく、日々の血圧・体重管理の重要性や定期受診の必要性、服薬管理の重要性など、患者さんへより分かりやすく説明や介入を図って行けるよう日々精進していければと思っております。
外来受診時など、何か不安な点やお困りのことなどありましたら、小さなバッチが目印なのでいつでもお声をおかけください。

【新型コロナワクチン接種に伴うお願い】

駐車場台数に限りがありますので、できるだけ公共交通機関でお越しください。

予診票事前に記入し、接種券本人確認書類(健康保険証等)と合わせて忘れずにお持ちください。

・診察と一緒にはできません。保険診療をご希望の方は別日にご来院、ご予約をお願いします。

・当日キャンセルの場合は当院まで早めにご連絡ください。

当院への電話、インターネットでのご予約は承っておりません。ご希望日に空きがなければ集団接種会場、他院でのご予約をお願いいたします。

・診療日の接種は外来診療と平行で行っているため、呼び出しの順番が前後したり、待ち時間が長くなる場合がありますのでご了承願います。

院内混雑緩和と蜜回避へのご理解・ご協力をお願いいたします。

令和3年度の「町田市成人健康診査」は新型コロナウイルスの感染対策として、院内の混雑緩和および院内感染防止のため、原則【予約制】とさせていただきます。
受付窓口、電話、インターネットにて事前のご予約をお願いいたします。
下記に該当する方は受診を見合わせていただき、受診日の変更をご案内しております。
●風邪症状、37.5℃以上の発熱のある方
●新型コロナウイルスに感染または感染疑いのある方と濃厚接触があってから 14 日以内の方
●海外から帰国して3週間以内の方
※健診を行う前に体温測定、手指消毒のご協力をお願いします。
院内の滞在時間を極力短縮していただくため、一般診察は定期診察日や健診結果受診日等の分散来院にご協力をお願いします。(健診日当日に一般の診察をご希望の方はご相談ください)
来院時は成人健康診査の「受診券」「問診票」をおよび「保険証」をご持参願います。(受診券、問診票は事前にご記入いただくとスムーズです)
午前中に健診の方は朝食、午後に健診の方は昼食を控えて来院ください。
感染拡大防止のためご理解、ご協力をお願いいたします。

院長:品川 弥人

こんにちは。院長の品川弥人です。

今日は患者さんから毎日多くの質問をお受けしている新型コロナワクチン接種についての情報をおしらせします。

町田市では5月には医療従事者の接種がほぼ終了し、多くの会場では6月から高齢者の接種が開始されます。私達クリニックのスタッフは5月の連休中に1回目の接種を行いました。接種した翌日に腕の痛みが出る人が多かったですが、大きな問題はなかったですよ(^^)

まず大まかな流れについて説明します。
1) 町田市在住の高齢者の方(令和3年度中に65歳以上に達する方)は5月中旬頃にワクチンの接種券と説明書類が封筒で届きます。

2) 封筒がとどいたら、案内に従って町田市のインターネットの予約サイト、またはお電話で町田の予約センターでご自身で予約を取得していただく流れになります(ワクチンは約3週間あけて2回接種しますので2回分の予約をまとめて取得していただきます)。

3)予約を取得するときに、接種する会場をご自分で選ぶことができます。
会場は集団接種会場と個別接種会場があります。当院は個別接種会場の一つとなっており、接種希望場所として当院を選んでいただくことができます。当院にかかりつけの患者様で持病があり心配な方は当院を接種会場に指定して予約を取得してください。ただ、予約取得枠には限りがあるためご希望の日程に沿えないこともありますのでご了承ください。現在のところ、通常の診療時間内に通常診療と並列でワクチン接種を行っていく予定です。予約枠はワクチンの入荷量や混雑状況、接種希望者の数に応じて調整していく予定です。

3) 予約が取得出来たら予診票の記入を行って下さい。接種会場には①接種券、②予診票、③本人確認書類、④あればお薬手帳 をお持ちください。当日は検温後医師の問診の後に接種になります。また、アレルギー反応の確認のため、接種後15分は会場に待機していただく必要があります。

詳しくは町田市の新型コロナウイルスワクチン接種特設ページをご覧ください。

かかりつけの皆様が安心してワクチンを接種できるよう、私達スタッフも頑張って準備をして参りますので、接種開始までもう少しお待ちくださいね!

こんにちは。院長の品川弥人です。

今回は急性心筋炎という病気を疑うポイント、早期発見のために必要なことについてまとめてみました。

急性心筋炎とは、心臓の筋肉に炎症が起こり、心臓の動きが悪くなって心不全を起こしたり、危険な不整脈を起こす病気です。重症度は様々で軽症例では自分では気付かないうちに発症し、自然に治ってしまうこともありますし、劇症型心筋炎と呼ばれる重症例ではショック状態から心停止に至ることも珍しくありません。年齢に関係なく子供から大人まで発症する可能性がありますので注意が必要です。この病気は早期発見・早期診断がとにかく大事なのですが、心筋炎を疑ってかからないと見過ごしてしまうことが多いので、それが怖いところです。

●心筋炎が発症する状況

この病気はまず一般的には普通のかぜ様症状(悪寒,発熱,頭痛,筋肉痛,全身倦怠感)やおなかの風邪(悪心・嘔吐・下痢などの症状)がまずおこり、その数時間から数日後に胸・心臓の症状がでてきます。一般的には数日以降に発症することが多く、風邪症状と心臓の症状にタイムラグがあることも一つのポイントになります。

●症状と診断

心臓の症状とは、胸の痛み、動悸、息苦しさなどです。重症な例だと酷い倦怠感や冷や汗、意識障害などを伴うこともありますがすべて非特異的な症状です。軽い胸の症状は気管支炎などでも起こる症状なので、症状だけで心筋炎と診断することはできないのです。診断するためには必要なことは病院で診察をしてもらい、心電図や胸のレントゲンを確認してもらうことです。レントゲンで心不全を疑う所見や、心電図で危険な不整脈や心筋傷害を表す所見があれば診断の手がかりになります。心エコーで心臓の動きを確認したり、採血で心筋の傷害を表す心筋トロポニンなどを見て、確定診断のためには心臓カテーテル検査も必要になります。

●原因

多くの心筋炎は風邪のウイルス感染後に心臓に炎症が起きることによって起こります。ほとんどの場合は風邪だけで治るのですが、風邪のウイルスが心臓の筋肉で炎症を起こすと心筋炎が発症するのです。一般に発症するかどうかに風邪自体の程度の強さは関係ありません。軽い風邪の後でも発症することがあります。コクサッキーウイルスをはじめとした多くの風邪ウイルスが原因となり、インフルエンザウイルスやCOVID-19コロナウイルスでも心筋炎の発症が報告されています。また、ウイルス感染以外にも細菌や真菌(カビ類)、自己免疫、薬剤、アレルギー、膠原病などが原因となって発症する場合もあります。そのような原因の場合には先行する風邪症状は必ずしも認められません。

●経過

心筋炎は気付かないうちに発症し、自然に治ってしまう軽症例から、ショック状態となり命に係わる劇症型まで様々な重症度があります。多くの心筋炎は重症例でも数週間のうちに炎症が収まり心臓の動きは回復しますが、一部には炎症が長く続いて、慢性心筋炎から慢性心不全に移行したり、心臓の動きが回復せずに命を落としたり、心臓移植を考えないといけない状況になることもあります。

まとめです。
急性心筋炎とは一般的に風邪症状の後に心臓に炎症が起こる病気です。軽症例では軽い症状だけで自然に治ってしまいますが、重症例だと心不全や危険な不整脈によって命にかかわる病気です。子供から大人まで幅広く発症する可能性があります。大事なことは重症例の早期発見です。そのためには“心筋炎疑うことが第一”です。具体的には、のどの風邪、おなかの風邪症状のあとに、動悸、息切れ、胸の痛み、息苦しさなどの胸の症状が出てきて、普通じゃないな、と思ったときにクリニックや病院で心電図と胸のレントゲンを確認してもらうことです。これが診断の手がかりになります。

風邪症状の後には、まれですが心筋炎の発症があることを覚えておいてください。

急性心筋炎

令和3年4月7日より毎週水曜日午後診療担当の医師(非常勤)が下記のとおり変更となります。

(変更前)加藤 彩美 医師 → (変更後)大木 卓巳 医師

 また、令和3年4月6日より毎週火曜日午後診療に医師(非常勤)が1名増員となり、3名体制での診療となります。

(新規着任)荒川 雄紀 医師

●診療担当医師

【火曜日午後】

品川 弥人 院長

佐藤 弥生 医師

荒川 雄紀 医師(非常勤)

【水曜日午後】

品川 直介 医師

佐藤 弥生 医師

大木 卓巳 医師(非常勤)

こんにちは。院長の品川弥人です。今回の動画は心臓弁膜症についての基礎知識、健診の聴診や、検査で異常を指摘され、心臓超音波検査で心臓弁膜症の指摘があった人が今後どのように管理をしていけばよいか、について説明してあります。

1. 心臓の構造と弁について
心臓には4つのお部屋があり、右心房、右心室、左心房、左心室と名前がついています。そのお部屋を区切るのが三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、大動脈弁という4つの弁です。心臓の血液の流れを含めて説明すると、まず全身から帰ってきた血液が右心房に入り、三尖弁を通って右心室に入り、肺動脈弁を通って、肺に行きます。肺で二酸化炭素を放出し、酸素を取り込んできれいになった血液が左心房から僧帽弁を通って左心室に入り、大動脈弁を通って全身へ流れます。心臓の弁というのは閉じたり開いたりして、血液の流れを一方向に導き、逆流を防ぐ役割をしているのです。

2.弁膜症の種類
心臓弁膜症という病気は大きく分けると2種類に分かれます。それが逆流症と狭窄症です。逆流症とは心臓の弁が閉じたときに閉じ切らないで血液が逆流してしまう状態です。狭窄症とは弁が硬くなることによって動きが悪くなり、弁の出口が狭くなってしまう状態です。三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、大動脈弁それぞれに逆流症、狭窄症があるのですが、一般的に多いものは大動脈弁の狭窄症・逆流症、僧帽弁の逆流症、三尖弁の逆流症などです。僧帽弁の逆流症では弁が心房側に落ち込む逸脱症という病態もあります。

3.症状
心臓弁膜症が起こると心房のポンプとしての機能が弱くなりますので、弁膜症が進行すると動いた時の息切れや疲れやすさ、時に胸痛がおこります。つまりこれは心不全の症状と同じなのです。
このような症状は弁膜症が重症であるほど起こります。しかし多くの軽症から中等度の弁膜症は無症状のことが多く、健診などで心雑音や胸部レントゲンでの心拡大をきっかけに、心エコ―検査を行って発見されることが多いです。

4.生活上の注意・悪化させないためには?
心臓弁膜症というのは一般に心臓に負担がかかると悪化します。加齢によって徐々に進行することが多いのですが、なるべく負担をかけないためには塩分と血圧の管理が大事です。塩分が多く、血圧が上昇すると多くの弁膜症は悪化して息切れなどの症状も起きやすくなります。したがって塩分を摂りすぎないようにして、血圧が高い人は適切にお薬を使って血圧を管理するのが弁膜症を悪化させないために大切なことなのです。

5.定期的にどんな検査が必要か?
胸部レントゲン、心電図、心臓超音波、採血(心臓の負担や心不全の状態を表すBNP・NT-proBNPなど)を定期的にチェックすることをお勧めします。検査の間隔は弁膜症の程度や年齢にもよりますが、一般的には年1回は検査をしておくと安心だと思います。もちろんより重度の弁膜症があって、症状もある人は定期的な通院が必要になります。

6.治療
治療はまず弁膜症の症状が出てきたときは心不全と同じ治療をします。
一般には血圧を下げるお薬や利尿薬を使って心臓の負担を減らす治療です。これはあくまでも症状を楽にする対処療法です。
そして弁膜症が重症になってきた場合は一般的には手術が必要になります。これは弁を取り換える置換術、弁を縫い合わせる形成術、また一部の弁膜症では外科的手術でなく、血管内からカテーテルで行う治療もあります。大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)や僧帽弁逆流症に対する経カテーテル僧帽弁クリップ術(Mitral Clip)などの治療がありますが、一般的にはカテーテル治療は高齢者や外科的手術の負担が大きく、手術に耐えられない人に適応となるものです。

7.感染性心内膜炎予防について
心臓弁膜症で弁置換術を施行した人や、多くの先天性・後天性弁膜症では体の中に細菌がはいったときに心臓の弁に細菌が付着、増殖して弁が破壊される感染性心内膜炎という病気を起こしやすい状態にあります。特に歯科処置(抜歯や出血を伴う口腔処置・歯石除去)が代表的なものになります。
出血を伴う歯科処置や一部の手術においては予防的な抗菌薬の投与を行ったほうが良い場合が多いですので、弁置換術後や弁膜症をお持ちの方は、歯科処置や手術前に循環器のかかりつけ医に予防的抗菌薬投与必要があるかどうか、お問い合わせすることをおすすめ致します。

心臓弁膜症

明けましておめでとうございます。院長の品川弥人です。

本年もよろしくお願いいたします。

新型コロナウイルスの感染拡大がより一層厳しい状況となり、予断を許さない状況が続いていますね。改めて気を引き締めて感染対策と体調管理を行っていきましょう。

さて、この感染拡大の制御に向けて、大きな期待がかかるのが欧米で接種が始まったCOVID-19のワクチンです。国内でも本年度上半期には接種が始まる見込みです。

今回このワクチンに対する情報をまとめたのでお役立ていただければ幸いです。動画の他に書きおこしの文章も少し長いですが動画リンクの後にすべてupしておきますね。

このブログ、動画では2020年12月末の時点でわかっている新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンについての情報を整理してお伝えします。

お伝えする情報は4つです。

1)ワクチン開発の現状と有効性
2)これまでのワクチンとどこが違うのか?
mRNAワクチン、ウイルスベクターワクチンとは?メリットとデメリット
3)報告されている副反応
4)今後の見通しと期待

1) ワクチン開発の現状と有効性
これまで以下の3種類のCOVID-19のワクチンが欧米で承認申請に至り、一部で接種が始まっています。他にも国内を含め多くの研究所や企業がワクチンを開発中です。

① 独BioNTech/米Pfizer社 mRNAワクチン(開発番号:BNT162b2)
② 米Moderna社 mRNAワクチン(mRNA-1273)
③ 英Oxford大学/AstraZeneca社 ウイルスベクターワクチン(AZD1222)

① 独ビオンテック/米ファイザー社のワクチンは約36,000人を対象とした第3相臨床試験で有効性、安全性が確認され(Polack FP, et al. N Engl J Med. 2020; doi: 10.1056/NEJMoa2034577)米国、英国で使用許可を取得し、接種が始まっています。有効率は95%と報告されています。
② 米モデルナ社のワクチンも第3相臨床試験が終了し(中間レポート;Jackson LA et al. N Engl J Med. 2020 ; 383(20):1920-1931. doi: 10.1056/NEJMoa2022483)。欧米で承認申請がされ、米国では接種が始まっています。有効率は94.5%と報告されています。
③ 英オックスフォード大学/英アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンも近く欧米で承認申請される予定です。有効率は70%と報告されています(Voysey M et al. Lancet. 2020 Dec 8;S0140-6736(20)32661-1. doi: 10.1016/S0140-6736(20)32661-1.)。

有効率とはワクチンを打った人が打たなかった人に比べて何パーセント発症が減ったかを表す数字です。ちなにみにインフルエンザワクチンで52.9%との報告(Seki Y, et al. In J Infect Chemother 2017; 23(9):615-620. doi: 10.1016/j.jiac.2017.06.004)があります。また、アメリカの食品医薬品局(FDA)は、パンデミックに対抗するには少なくとも50%の有効性が必要だとしているので、どのワクチンも素晴らしい有効性が認められていると言えます。独BioNTech/米Pfizer社製のワクチンの第3相試験の論文(Polack FP, et al. N Engl J Med. 2020; doi: 10.1056/NEJMoa2034577)をみると、接種14日後からワクチンを接種した人はほとんどCOVID-19を発症していないことがわかります(図1)。ワクチン接種者、プラセボ接種者がそれぞれ約1.8万人いる中で、COVID19発症者はワクチン接種者で8名、プラセボ接種者で162名、重症者はそれぞれ1名、9名で、有効率95%という結果で、有効率が95%と報告されています。

2)これまでのワクチンとどこが違うのか?
従来使用されている生ワクチンや不活化ワクチンというものは、病原体のウイルスや細菌を別の宿主や細胞で増殖させて使用するものでした。しかしこの方法は開発や製造に非常に時間がかかるという問題点があり、今回のようなパンデミックに素早く対応できません。
そこでCOVID19のワクチン開発では、ウイルスの遺伝情報に基づいてワクチンを設計する「遺伝子ワクチン」が採用されたのです。

まず。独BioNTech/米Pfizer社と米Moderna社が採用したmRNAワクチンについて説明します。
mRNAとは、タンパク質を作るためにDNAという遺伝情報の大元の一部を転写(コピー)して作られるRNAのことです。COVID-19ウイルスの表面のスパイクタンパク質の遺伝情報のmRNAを合成して、脂質ナノ粒子という物質の中に入れて接種することで、人の体の細胞がそのタンパク質を作り、そのタンパク質に対する免疫がつくシステムです(図2)
mRNAワクチンのメリットとデメリット・懸念点を挙げます。

メリット
・ワクチンの迅速な開発と大量に生産が可能
・宿主(ワクチンを打たれる人)の遺伝子(DNA)変異リスクがない
・mRNA自体が予防対象の病気(COVID-19)を引き起こすことがない
・抗体の産生を行う液性免疫と免疫細胞自体が異物を攻撃する細胞性免疫を同時に誘導できる

デメリット・懸念点
・mRNAが意図しない免疫反応を引き起こすリスク
・mRNAは不安定な物質なため、保管が大変(ファイザー社製のものは-70℃での保管が必要)

次にOxford/AstraZeneca社のウイルスベクターワクチンですが、これはCOVID-19ウイルスのスパイクタンパク質の遺伝子を無害化されているアデノウィルスに組み込んで、これを接種するものです。それによって体内でCOVID-19のスパイクタンパク質の生成が始まり、同じように免疫が惹起されます。このウイルスベクターワクチンは安価で普通の冷蔵庫で保管ができるというメリットがあります(2-8℃)(Covid-19: Oxford University vaccine shows 70% protection:https://www.bbc.com/news/health-55040635)

3)報告されている副反応
接種後の局所部分反応(痛みや熱感)の発現頻度が高く、重篤でない全身性の有害事象(倦怠感、不快感、筋肉痛、頭痛)が高頻度(数10%以上)であることが報告されています。
(L.A. Jackson, et al. N Engl J Med. 2020;Edward E. Walsh et al. medRxiv preprint. 2020;Pedro M Folegatti et al. Lancet. 2020;Feng-Cai Zhu et al, Lancet. 2020)
独BioNTech/米Phizer社製のワクチンの第3相試験のデータを紹介すると、このワクチンは筋肉注射で、21日間あけて2回接種するのですが、2回目の接種での副反応が多く、だるさ、頭痛、悪寒、筋肉痛、関節痛などが高頻度(20-60%)で起きています(図3)。ただしプラセボ(疑似薬)を打った人でもある程度起こっています。そして問題となる重篤な副作用はほとんどなく、プラセボ群と差がない(0.6% vs 0.5%)ということでした(Polack FP, et al. N Engl J Med. 2020; doi: 10.1056/NEJMoa2034577)。

しかし12月に実際の接種が始まってから、接種後に激しいアレルギー反応であるアナフィラキシー反応の発症例も報告されています。2020年12月20日時点での報告のある8人のうち3人は過去に強いアレルギー反応の既往があったそうです。
mRNAワクチンを接種する場合は、mRNA自体が免疫を活性化する作用があるため、強いアレルギーの既往がある方は特に免疫の過剰反応に注意が必要と言えます。
また、投与後長期の安全性については、mRNAが体内に長く残ることはないので大きな影響はないと考えられていますが、こちらも今後の報告を待たなければならいところです。
さらに妊婦や小児、免疫不全患者などでの安全性や有効性についても確認がされていません。

4)今後の見通しと期待
この3種類のCOVID-19のワクチンはいずれも、日本で承認されれば、早いものでは2021年上半期にも接種が始まる予定です。

現在のところ、まず優先接種の対象となるのは、①COVID-19の患者などに医療を提供する施設の医療従事者等、②高齢者、③高齢者以外で基礎疾患を有する者と高齢者施設等の従事者─の順になる見込みで、2021年初めに正式決定されるようです。
このワクチンで集団免疫が得られるかどうかは不明ですが、新型コロナウイルスは60-75%の人がワクチンを打てば流行が収まるとの予測もあります。(Nat Rev Immunol 2020; 20: 581-584)

このように、これまでの多くの研究者の方々の努力により積み上げられてきた科学技術の進歩によって、短期間で素晴らしい効果を持つワクチンが開発されました。
ただし、いずれのワクチンもこれまでにない種類のものであり、どのくらい効果が持続するのか、長期的な副反応についてはまだわかっていません。
どんなワクチン・医療にもメリット、デメリットはありますが、このワクチンがCOVI-19感染症収束へのブレイクスルーになることを期待したいですね!