心不全で退院した後はどこに通う?かかりつけ移行と再入院を防ぐ通院の始め方 – 町田市 – しながわ内科・循環器クリニック
結論:退院はゴールではなく、管理のスタートです
結論からお伝えします。心不全で入院治療を受けた方は、退院後2週間以内を目安に、循環器のかかりつけ医での通院管理を始めてください。心不全は退院後の管理次第で経過が大きく変わる病気であり、再入院を防ぐ鍵は「日常を診てくれる医師」の存在です。
当院は、北里大学病院と年間134件、町田市民病院と年間121件の新規紹介・逆紹介の受け入れ実績を持ち、現在624名の慢性心不全の患者様が定期通院されています。退院時に受け取った診療情報提供書(紹介状)をお持ちの上、WEB順番予約、もしくは初診の方はお電話で予約をしてご来院ください。どの病院からの逆紹介・転院でもお受けしています。この記事では、退院後の通院先の選び方と、かかりつけ移行の具体的な流れを解説します。
文責・監修:品川 弥人(しながわ ひさひと)院長
・ 医学博士/日本循環器学会 循環器専門医/日本内科学会 総合内科専門医
・ 北里大学病院 循環器内科の心不全診療グループに所属し、慢性心不全の専門診療に従事。北里大学医学部循環器内科学 助教を経て、ドイツ・ビュルツブルグ大学心不全センターに留学(日本心臓財団・バイエル薬品 海外留学助成受賞)
・ 一般内科医向けの解説書『プライマリケア医で診る慢性心不全』を出版。2015年から延べ255回、医師向けに心不全・高血圧の講演を実施(全国配信のWeb講演3回を含む)【要確認:書籍の出版社・発行年】
2026年;プライマリケアで診る慢性心不全改訂2版 中外医学社
2022年:プライマリケアで診る慢性心不全 中外医学社
・ 日本循環器学会・日本心臓病学会・日本心不全学会 所属/医療法人社団仁悠会 理事長
なぜ「退院後」がそれほど大切なのか

心不全は入院管理下では厳格な塩分管理と安静にて、最小限の薬でコントロールが可能になります。ところが自宅退院をした後は塩分制限が困難であったり、活動量が増えることで心不全が悪化しやすい環境にもどることになります。したがって、環境が変化する退院後2~4週間は心不全がきわめて悪化しやすい時期なのです。
心不全は、悪化(急性増悪)と改善を繰り返しながら、階段を降りるように進行する病気です。入院して治療すれば症状は良くなりますが、心臓の状態は入院のたびに少しずつ低下します。つまり、心不全の治療で本当に大切なのは「入院してから治すこと」ではなく「悪化させない管理を行うこと」です。
悪化の多くには、体重の急な増加、むくみ、息切れの増悪といった前触れがあります。この小さなサインの段階で薬を調整できれば、入院せずに立て直せることが少なくありません。それができるのは、あなたの普段の状態を知っていて、すぐに受診できる距離にいる、かかりつけ医です。退院後に通院先を決めないまま過ごすことは、この安全網を持たずに過ごすことを意味します。
病院とかかりつけ医:役割分担を知る
| 役割 | 病院(急性期) | かかりつけ医(慢性期) |
|---|---|---|
| 担当する場面 | 入院が必要な悪化時の集中治療、カテーテル治療・手術、精密検査 | 日常の定期管理、薬の調整、悪化サインの早期発見、生活の相談 |
| 通院・対応 | 予約は数ヶ月先になることも。急な相談は難しい場合がある | 2〜4週間隔など短いサイクルで診察。気になる変化をすぐ相談できる |
| 連携 | 悪化時はかかりつけ医から迅速に紹介・入院手配 | 病院の治療方針を引き継ぎ、診療情報を共有しながら管理 |
この2つは競合ではなく分業です。病院の主治医との関係が切れるわけではありません。安定期はかかりつけ医が診て、必要なときに病院へ戻す——この「顔の見える連携」がうまく回っている地域ほど、心不全の再入院は減らせると考えられています。
かかりつけ移行の流れ
①心不全の安定期・退院後:病院の主治医・支援室に「状態が安定しているので自宅近くのかかりつけ医で診てもらいたい」と伝え、診療情報提供書(紹介状)を作成してもらう。通院先が決まっていれば宛名入りで、未定なら宛名なしでも構いません
②予約:当院はWEB順番予約(当日順番制)です。初回で紹介状を持参して受診するかたはお電話で予約も受け付けています。
③初診:紹介状・お薬手帳・(あれば)退院時の説明資料をお持ちください。入院中や病院の外来での経過を確認し、診察・必要な検査で現在の状態を把握した上で、通院計画(頻度・検査・目標)を一緒に決めます
④以後の定期通院:体重・血圧の記録を拝見しながら薬を微調整し、定期的に血液検査(BNP)や心エコーで心臓の状態を確認します。当院は心エコー検査を年間1,499件実施する院内検査体制を持ち、その場で結果をご説明できます
当院の受け入れ体制:数字でご紹介します
当院の院長は、北里大学病院 循環器内科の心不全診療グループに所属し、慢性心不全の専門診療にあたってきました。病院側がどのような方針で治療し、何をかかりつけ医に引き継ぎたいのかを、病院側の経験から理解しています。
- 通院中の慢性心不全患者様:624名(定期通院患者様の16%が心不全関連疾患)
- 病院との紹介・逆紹介:北里大学病院 年間134件/町田市民病院 年間121件
- その他の連携先:多摩丘陵病院、多摩南部地域病院、相模野病院、相模原協同病院【要確認:表記】、新百合ヶ丘総合病院、聖マリアンナ医科大学病院、町田病院、町田胃腸病院、榊原記念病院、昭和大学藤が丘病院、淵野辺総合病院、国立病院機構相模原病院
- 通院が難しくなった場合:訪問診療へ切れ目なく移行できます(現在、訪問診療45名のうち18名が慢性心不全の患者様)。オンライン診療(curon)にも対応
悪化して入院が必要になった場合は、元の病院あるいは状態に最も適した連携先へ、診療情報を添えて迅速におつなぎします。「退院後はこのクリニックへ、悪化したら病院へ、また落ち着いたらこのクリニックへ」という往復の道が、最初から用意されています。
再入院を防ぐために、通院で行うこと
- 毎日の体重・血圧記録のチェック:当院オリジナルの血圧手帳をお渡しし、記録をもとに診察します。「何日で何kg増えたら連絡するか」の目安も個別にお伝えします
- 薬の継続と微調整:心不全の薬は症状がなくても心臓を守るために続ける薬です。副作用や飲みにくさは、やめる前に必ずご相談ください
- 塩分・水分・活動量の相談:制限の押しつけではなく、その方の生活に合わせた現実的な調整を一緒に考えます
- 感染対策:感染症は悪化の引き金です。ワクチン接種のご案内と、風邪症状の方と時間を分けた外来運用で通院時のリスクにも配慮しています
よくある質問(FAQ)
Q1. 病院に通い続けながら、並行してかかりつけ医に相談することはできますか?
A. できます。病院の外来間隔が長く不安な方が、間の期間の体調管理をかかりつけ医で行う形は一般的です。診療情報を共有しながら、二人三脚で診ていきます。
Q2. 紹介状を病院にお願いしそびれました。受診できますか?
A. 受診いただけます。お薬手帳と、入院時期・病院名を教えていただければ、必要に応じて当院から病院へ診療情報の提供を依頼することもできます。まずは現状の検査から始めましょう。
Q3. 退院からどのくらいで受診すべきですか?
A. 退院直後は状態が変化しやすい時期です。目安として2週間以内の受診をおすすめしています。退院時に病院から受診時期の指示がある場合は、それに従ってください。
Q4. 通院の頻度と費用はどのくらいかかりますか?
A. 安定している方で1~2か月に一度の通院、診察と検査の内容により費用は変わりますが、目安として3割負担で約2310円(再診+心臓関連の一般採血+処方箋発行の場合)です。高齢受給者・後期高齢者の方は自己負担割合に応じた額になります。詳しくは受付でお尋ねください。
Q5. 家族が退院します。家族が代わりに相談に行ってもいいですか?
A. はい、ご家族からのご相談もお受けしています。ご本人の通院が難しい場合の訪問診療のご相談も可能です。
Q6. 北里大学病院(町田市民病院)で治療を受けました。引き継ぎはスムーズにできますか?
A. はい。両院とは年間100件を超える紹介・逆紹介の実績があり、日常的に診療情報をやり取りしています。院長は北里大学病院循環器内科の出身であり、治療方針の引き継ぎも円滑に行えます。